第一生命保険による「サラっと一句! わたしの川柳コンクール」(サラ川、旧サラリーマン川柳コンクール)という、職場や家庭の悲喜こもごもを詠んだ川柳のコンクールが、毎年行われています。
昨年は、全国から応募のあった約5万2千句の中から、まず第一生命の社員による社内投票で優秀作100句が選ばれ、その後、約6万9千人の一般投票によって順位が決定されました。
1位 「AIの 使い方聞く AIに」
2位 「久しぶり 笑顔は出るが 名前でず」
3位 「セルフレジ 母に店員 二人付く」
いずれも、現代社会の変化や日常のささやかな出来事を、思わず笑ってしまう視点で切り取り、多くの人の共感を集めた句です。肩肘張らずに読める中に、「あるある」と頷かされる真実が詰まっているところが、サラ川の大きな魅力なのでしょう。
さて、こうした川柳とは少し趣が異なりますが、仏教の世界にも、言葉の力で人の心に問いかける取り組みがあります。
『仏教聖典』を発行している「仏教伝道協会」では、「輝け!お寺の掲示板大賞」という企画が行われています。ここでいう「掲示板」とは、「伝道掲示板」と呼ばれるもので、仏教寺院の門前などに設置され、仏教の教えや、人生について考えさせられる言葉が掲げられています。通りがかりにふと目にした一言が、思いがけず心に残る——そんな経験をされた方もいるのではないでしょうか。
今年の大賞に選ばれたのは、「自分ファーストという貧しさ」という言葉でした。講評では、「仏教の教えをまず自分事として捉えることは重要ですが、仏教の慈悲の精神においては、必ずしも自分がファーストではありません。人々が他者への思いやりを持った、寛容性豊かな社会になることを願って、この作品を大賞としました」と述べられています。
次点には、いくつかの印象的な言葉が選ばれています。「苦しみがなくなるのではない 苦しみでなくなるのです」という言葉には、「苦しみには必ず原因があり、それを客観視することで、苦しみが単なる苦しみではなく、人生の糧になることもある」という講評が添えられていました。
また、「慣れていくことに慣れてはいけない」という言葉については、「慣れは慢心を生みやすく、人生の中で最も怖いものの一つである」という指摘がなされています。
さらに、「迷った時には墓参り~大瀧詠一~」という掲示板も選ばれました。大瀧詠一さんの口癖として伝えられる言葉で、墓前で亡き人を偲び、対話する中で気づきが得られることもある——そんな温かい解説が添えられています。
私個人が特に心に残ったのは、「手を抜くと 手が掛かる」という言葉でした。「忙しい毎日の中で、つい手を抜きたくなることもあるが、結果としてかえって手が掛かってしまうことがある。未来は、今を丁寧に積み重ねた先にある」という講評を読み、思わず頷かされました。
笑いの中に世相を映すサラ川も、静かな言葉で生き方を問いかけるお寺の掲示板も、形は違えど、どちらも私たちの日常に「立ち止まって考えるきっかけ」を与えてくれます。何気なく目にした言葉が、今日の自分の行動を少し変える——そんな力を、言葉は持っているのだと、改めて感じさせられました。
昨年は、全国から応募のあった約5万2千句の中から、まず第一生命の社員による社内投票で優秀作100句が選ばれ、その後、約6万9千人の一般投票によって順位が決定されました。
1位 「AIの 使い方聞く AIに」
2位 「久しぶり 笑顔は出るが 名前でず」
3位 「セルフレジ 母に店員 二人付く」
いずれも、現代社会の変化や日常のささやかな出来事を、思わず笑ってしまう視点で切り取り、多くの人の共感を集めた句です。肩肘張らずに読める中に、「あるある」と頷かされる真実が詰まっているところが、サラ川の大きな魅力なのでしょう。
さて、こうした川柳とは少し趣が異なりますが、仏教の世界にも、言葉の力で人の心に問いかける取り組みがあります。
『仏教聖典』を発行している「仏教伝道協会」では、「輝け!お寺の掲示板大賞」という企画が行われています。ここでいう「掲示板」とは、「伝道掲示板」と呼ばれるもので、仏教寺院の門前などに設置され、仏教の教えや、人生について考えさせられる言葉が掲げられています。通りがかりにふと目にした一言が、思いがけず心に残る——そんな経験をされた方もいるのではないでしょうか。
今年の大賞に選ばれたのは、「自分ファーストという貧しさ」という言葉でした。講評では、「仏教の教えをまず自分事として捉えることは重要ですが、仏教の慈悲の精神においては、必ずしも自分がファーストではありません。人々が他者への思いやりを持った、寛容性豊かな社会になることを願って、この作品を大賞としました」と述べられています。
次点には、いくつかの印象的な言葉が選ばれています。「苦しみがなくなるのではない 苦しみでなくなるのです」という言葉には、「苦しみには必ず原因があり、それを客観視することで、苦しみが単なる苦しみではなく、人生の糧になることもある」という講評が添えられていました。
また、「慣れていくことに慣れてはいけない」という言葉については、「慣れは慢心を生みやすく、人生の中で最も怖いものの一つである」という指摘がなされています。
さらに、「迷った時には墓参り~大瀧詠一~」という掲示板も選ばれました。大瀧詠一さんの口癖として伝えられる言葉で、墓前で亡き人を偲び、対話する中で気づきが得られることもある——そんな温かい解説が添えられています。
私個人が特に心に残ったのは、「手を抜くと 手が掛かる」という言葉でした。「忙しい毎日の中で、つい手を抜きたくなることもあるが、結果としてかえって手が掛かってしまうことがある。未来は、今を丁寧に積み重ねた先にある」という講評を読み、思わず頷かされました。
笑いの中に世相を映すサラ川も、静かな言葉で生き方を問いかけるお寺の掲示板も、形は違えど、どちらも私たちの日常に「立ち止まって考えるきっかけ」を与えてくれます。何気なく目にした言葉が、今日の自分の行動を少し変える——そんな力を、言葉は持っているのだと、改めて感じさせられました。

























