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school-news-a474 花看半開

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花看半開
この原稿を書いてる今は、4月17日(木)です。遊行寺宝物館横の濃い色の八重桜は満開となり、遊行寺四十八段の桜色の八重桜も満開になっています。まさに「世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし」(在原業平)の状況です。
 さて、遊行寺黒門(惣門)近くの伝道掲示板の「今月の言葉」は、「花看半開」です。ソメイヨシノ、ヤマザクラ、ヤエザクラと次々とサクラが満開になっていくこの季節だからこそ「花看半開」の言葉を選んだのかもしれません。「花看半開」のあとに「酒飲微醺」が続くそうです。「花は半開を看(み) 酒は微醺(びくん)を飲む」ということになります。
 私が25歳の頃まで、拙宅の離れに裏千家の女性の先生がお一人で住んでいました。その先生が「物事は完璧より何か少し欠けていた方が美しい」という旨のお話をされていたことをときどき思い出します。
 さだまさしの「飛梅」という歌の歌詞は、「手を合わせた後で 君は神籤を引いて 大吉が出る迄と も一度引き直したね 登り詰めたらあとは下るしかないと 下るしかないと 気付かなかった 天神様の細道」です。
 9月の十五夜を愛でた翌月は「十三夜」を楽しみます。
 サグラダ・ファミリアは、建築家アントニ(オ)・ガウディの未完成作品ですが、その未完成作品に人はなぜか惹きつけられます。
 どうやら私たちは、花に例えて言うならば、「満開」の美しさだけに惹きつけられるのではなく、半開こそ見頃であり、本当に生き生きとした勢いのある美しさを感じたり、満開になったらどんなに美しいだろうかと思うことで心躍らせたりしているのです。
 半開の美しさ、半開の奥ゆかしさ、半開の趣き、半開の躍動感を、自然の中に、人生の中に、生き方の中に感じられたら、それはまた幸せなことなのでしょう。
 「花看半開」の語をサクラの季節だからこそ味わいたいものです。
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